健康食品の代表のはずが…
ひじきといえば、少し以前までは健康食品の代表として挙げられるほどの食材でした。
ですが近年ではひじきには人の健康を大きく阻害するおそれのある「ヒ素」が多く含まれていることがわかり、以後はひじきは“食べては危険な食品”として不名誉な称号を与えられることにもなってしまいました。
ひじきの危険性については2004年に英国食品規格庁によって最初の指摘がされており、2005年5月の日本食品衛生学会でもその件に関する研究が発表されています。
そのときの内容によると、ひじきを食べるときに行う水戻しと加熱をすることでヒ素を除去することは可能ということなので、もしこれまでひじきを多く食べてきたという人であっても、和食によくあるひじきの煮物にしてきたというときにはそれほど健康被害を重く考える必要はありません。
とはいえヒ素を多く含む食品ということがわかった以上はそうそう毎日の食卓には出しづらくなってしまいますから、これからは食べすぎに気をつけ調理にもかなり気を使っていかなくてはいけないでしょう。
ヒ素は他の食材にも含まれています
ただひじきだけを悪者にしてしまえばそれで話が終わるというわけではありません。
実はこのヒ素というのはひじきに限らず自然界にある食材のかなりに含有をされている成分であるからです。
ひじきは海で採れる海藻類の一種ですが、同じく海藻として食べられているものにも少なからず含まれているということは知っておくべきです。
ただほかの海藻に含まれるヒ素は「有機ヒ素」という人体に悪影響の少ないものであるため、ただちに食べるのをやめなくてはいけないというレベルではありません。
ことさらひじきだけが取り上げられたのはこの含有ヒ素が「無機ヒ素」という人体に影響の大きい成分であったためです。
無機ヒ素は長く食べ続けることでガンを発症するリスクが高くなるため、体内に蓄積されがちな若い世代の人や子供を胎内で育てている妊婦さんなどは特に注意が必要です。
ひじきを食べるときの注意点
研究でも言われていますが、ひじきが危険だからといって絶対に食べてはいけないというわけではなく、調理法を守り適切な分量を食べれば従来から知られているようなビタミンやミネラルなどの健康成分をうまく摂取していくことができます。
ヒ素含有が明らかになる前までは、ひじきに含まれている必須ミネラルや食物繊維は女性の美容や健康にとってはなくてはならないものとされてきました。
ひじきを食べる前には必ず調理前に30分以上は水につけておくようにし、さらに調理をするときには一度茹でこぼしをするということが重要です。
無機ヒ素は水にとけやすいという性質があるので、こうした下処理を行うことで有害な成分のほとんどを抜くことができます。
食べるときには適量を守り、毎日過剰に摂取をしないよう体格や性別に合わせて分量を調節していってください。